「良かったぁ。あ、じゃあ、必死に探してくれたんだ?」
「……はい」
「そっか。ごめんね、ありがとう」
「……いえ、こちらこそ、遅くなって本当にごめんなさい! あと、方向音痴でごめんなさい……」
「ふふ、僕は可愛いと思うけど、方向音痴」
「……可愛くはない、と思う」
「そう?」
「はい」
恥ずかしすぎて、きっと赤くなっているであろう頬を思わず両の手で隠した。
いい歳した大人が迷子だなんて、本当に恥ずかしい……。
「まぁでも、確かに女の子が迷子になるのは危ないからねぇ」
「……」
「無事でいてくれて良かった」
そう言ってにっこりと笑うその顔が、まるで天使の微笑み……。
大人の男のくせに、どうしてそんなに可愛くて綺麗なのか。
やっぱりこの男の天職は、甘い言葉と態度で女を酔わせるホストだと思う。
だって、こんな私を“女の子”扱いするなんて、夜の営業職の男ぐらいでしょ。
そんな言葉は、年齢も見た目も私にはそぐわないことぐらいは私自身が一番よく分かってるつもりだ。



