隠れ御曹司の愛に絡めとられて


「今夜のメニューは、ビーフシチューです」


とても美味しそうな匂いを放っていたのは、これだったか。

目の前にサッとサーブされて、私はそれに思わず魅入る。

お肉がゴロゴロと入っていてとても美味しそう。

他にもサラダ二種類とバゲット、赤ワインも用意されていた。

至れり尽くせりで、まるでレストランに来たかのような錯覚さえ覚える。


「どうぞ召し上がれ」


空腹にはあらがえず、私は「いただきます」と口ずさんで、シチューをぱくり。


「……おいしっ」


お肉はスプーンでもすぐにほぐれるほどの柔らかさ。

味も、とてもコクがあって、まるでお店のシチューみたいでびっくりするぐらい美味しい。

深い味わいが赤ワインによく合っていて、どちらも止まらなくなりそうだ。

私の反応を見た彼がホッとした表情になる。


「良かった。苦手なものとかあったらごめんね?」

「あ、ううん、大丈夫、好き嫌いない、から」

「そう? それなら良かった」


好き嫌いは多分、ほぼない。

誰かが自分のために作ってくれたものなら、だいたい何でも食べる。

と言うか、自分が作ったもの意外は、ほぼ何でも食べられる。