「……っちょ、あのっ!!」
「……うん?」
「こ、こんなとこで……っ」
すっかり頭から飛んでたけど、ここ、路上……!
こんな道の往来で……夜の路地裏で人通りが少ないとは言え、だ、抱き合っ……、うああ……!
「僕は誰かに見られても気にしないけど」
「そ、そう言う問題じゃ、なくて……っ」
「……ふふ、ごめんごめん」
彼はぎゅっと抱き締めていた腕を解いて、代わりに私の両手をきゅっと握る。
彼が「ごめんね?」と小首を傾げると、彼の茶色い髪がふわりと揺れた。
とても悪いとは思っていなさそうな可愛い笑顔で謝られ、あまりの可愛さに怒るに怒れない。
くぅ……。
年下の男に良いように弄ばれてる気がする……。
「会いに来てくれたのが嬉しくて、つい調子に乗っちゃった」
「……」
そりゃ、会いに来たけど。
でもそれは、きみに会いたかったからではなくて……、と脳内で文句を言い、そしてやっと私がここに来た真の目的を思い出した。
「あっ、あのっ……!」
彼と繋がれていた手をなんとか解いてバッグに手を入れようとしたところで、私のお腹からグーッと派手な音が鳴った。
なんてタイミング……穴があったら入りたい……。



