隠れ御曹司の愛に絡めとられて


「ふふ、嬉しい」


メープル似の彼が、私の耳元で嬉しそうに笑う。

メープルもよく私に抱きついて嬉しそうにしてたっけ。

もう何年も前に寿命を全うして虹の橋を渡ってしまったけれど。

懐かしくて、私は思わず彼を抱き締めて、ほっこりしてしまった。


ギュッと強く抱き締められ、はた、と我に返る。

違う違う、彼は、犬のメープルなんかじゃないってば!


「あ、のっ……」


彼の背に回していた腕を慌てて解いて離れようとすると、「なんだ、もう、終わり?」と、笑い混じりの声が耳元で聞こえる。

笑うたびに、言葉を発するたびに私の耳元の髪が揺れ、くすぐったくてたまらない。

明らかにわざと吐息がかかるようにしているのが分かって、全身がカッと熱くなる。

彼から逃れようと身体を動かすと、「逃げないで」と囁かれたのと同時に耳に熱を感じ……逃げる間もなく、耳を甘く食まれた。


「……っ、ちょ、あの……っ」


耳が、熱い。

全身が熱くて、動けない……。

どうして私、この間会ったばかりの人とこんなことしてるんだろう……?

それも、こんな所で……。

こんな所……、……こんな、所……!?