隠れ御曹司の愛に絡めとられて


しゃがみ込んだ姿勢で膝に額を押しつけたまま、はぁ、と息を吐き出す。

足が痛い。

いま何時だろう。

帰り方、分かるかな。


一度ぎゅっと目を瞑って、よし、と気合いを入れ直して目を開ける。

すると……。


「あの、大丈夫ですか……?」


私がうずくまっていたからか、不審に思った人から声を掛けられてしまった。

脇道で人通りがあまりないからとは言えこんな道の往来でしゃがみ込んでいたら、何かあったのかと思われても仕方がない。

私はすぐに立ち上がって「すみません、大丈夫ですっ」と顔を上げると……。

そこには……

ずっと探していた“彼”が、私の目の前に立っていた――。


「え? 亜矢さん……?」

「あ……」


彼の顔を見てホッとしたからか、思わず涙が込み上げてきてしまう。

堪えようとしたけれど結局堪えきれず、涙がポロリとこぼれ落ちた。


「わ、亜矢さん? 大丈夫? どこか痛いの?」


困ったように眉をハの字に下げる彼――。


そんな彼を見て私は……誰かに、何かに、似てる……、そう思った。