――私、ほんとダメだな……。
思わずその場にしゃがみ込んで、膝に顔を埋めた。
足も痛いし、何よりも心が痛い。
自分で言うのも何だけど、私は決して仕事が出来ない方ではないと思う。
多分どちらかと言えばそれなりに出来る方で、その腕を買われて営業部への転属を打診されたことも何度かある。
けれど、全て断った。
だって営業に出て営業先に辿り着くことが出来ないとか帰って来られないなんて、シャレにならないから。
そんな私の個人的な事情をよく理解してくれている常務が、毎回丁重に断ってくれているのだ。
しかも「野村がいなくなったら秘書課が機能しないどころか役員全員が困るので、絶対に出せません」と、本当の理由を隠して断ってくれているらしい……。
それはそれでなんか申し訳ない気分だ。
そしてそれのおかげでなぜかますます私の仕事っぷりがすごいなんて、とんでもない誤解を招くことに……。
これは本当に申し訳ない、そのうちあちこちに訂正して回らなければいけなくなるかも知れない。
方向音痴って本当に色々と最悪だと思う……。
そんなことより。
今日も彼の家を見つけられずに帰ることになるのかな……。
どうして私はいつもこうなんだろう?
どうして……。