検索ワードを入力すると、いくつかの検索結果が表示される。

有名な高級腕時計、らしい。

価格は…………。


「……はぁっ?」


ゼロを数え間違えたかな?

私は思わずもう一度ゼロの数を確認する。

一、十、百、千、万――。


……ねえ、腕時計の相場って、どれぐらいだと思う?

ちなみに私が普段仕事に着けて行っているのが、三万円ほどのもの。

仕事用だし、文字盤が大きめでしっかり時間が確認できるシンプルなタイプのものだ。

友人の結婚式なんかに着けていくためのデザイン重視のブレスレットタイプのものは五~六万円ぐらいだったと思う。

服装や着けていく場所によって使い分けることは一応私も分かっていて実践しているけれど……こんな高級な時計は一体いつどこで着けるんです!?


何度ゼロの数を数え直しても、その腕時計は、百万円もする代物だった。

は? 意味が分からない。

これが、あの、飲食店勤務の綺麗な男の持ち物、ですって……!?


自己紹介の時に一瞬私の頭を過ぎった考えが再び現実味を増す。

あの時、こう思ったのだ――

ホスト?

――って。