はぁ、とため息をついて、私は昨日と一昨日に来たのとは違う道へと入っては出て、また違う道へ入っては出て……を繰り返した。
それでも結局、彼の家を探し始めて三日目の今日も見つからず仕舞い。
私が方向音痴だからなのか、それとももしかして、あの人は実在せず、想像上の人物だったのでは……と思うほど。
平日で月曜日の今日はさすがに迷子になるわけにはいかないのでかなり慎重に歩いた結果、迷子にはならなかったけど、見つけることも出来なかった。
失意のまま電車に揺られ、自宅へと帰還する。
「……はぁ、疲れたーっ!」
ため息と共にソファへとダイブする。
私のカバンの中には相変わらず持ち主からはぐれてしまった男物の腕時計が入ったままだ。
ふと思い立って、私はその腕時計を手に取った。
傷などが付かないようにと手持ちのハンカチで包んであり、私はそれをそっと開く。
私は文字盤や裏に書かれた文字などからネット上で検索をかけてみることにした。
装飾品などには興味が無いし、ましてや男物なんてどれぐらいの価値のあるものかと言うことに私はとても疎い。