「……ここ、どこ???」


昼過ぎに駅に着いて、いまはもう夕方……。

冬の陽は傾くのが早く、辺りは既にかなり薄暗い。

街灯や店の看板も照明を灯し始め、気温も急激に下がってきている。


「……で、ここ、どこよ……?」


スマホの地図アプリを起ち上げて現在地を確認する。

駅の方向は……、と地図とにらめっこするけれど、自分がどっちに向かって歩けばいいのかが分からない。

試しに自分の思う方向へと少し歩いてみるけれど、どうやらそれは駅とは逆方向らしく……。

立ち止まって、はぁ、とため息をついた。

方向音痴ってこう言う時ほんと困るよね?


地図を確認しながら元来た位置へと戻る。

さっき反対方向だったから、このまま行けば大通りに出る。

……そのはずなのに、どこまで行っても大通りへ出ない。


――は? 意味が分からないんですけど!?


心の中で悪態をつくも、そんなことをしたところで駅へ続く道に出られるはずもなく。

私は見ず知らずの土地で、完全に迷子になってしまったのだった……。