隠れ御曹司の愛に絡めとられて


ゴクリ、とビールを飲む。

ビールの苦みが心地良い。


よく考えてみるとビールって、私の人生みたいだ。

だってさ、「とりあえず」なんて失礼な言葉を付けて注文されて、味は苦くて、時間が経って気が抜けたりぬるくなったら、もう不味くて飲めない。

とりあえず付き合って、でも中身が微妙で、時間が経ったらつまらない女だってことに気づいて、もう別れたいって思われる。

ほらね、なんだか似てる。


なんて、くだらないことを考えてるうちに、二杯目のジョッキが空になった。

ちらりと隣を見ると、美紀たちはまだ一杯目のチューハイをちびちび飲んでるし、男たちはやっと一杯目のジョッキが空になりかけたぐらいだ。

あらまあ、ごゆっくりですね?

私は手を上げて店員を呼び止め、「ビール4つ追加で!」と男性陣のも合わせて追加注文。


私を除く三対三で話が弾んでいて、楽しそうでなによりです。

もうほとんど保護者の気分で私はビールを飲みながらそれを眺めていた。

時々美紀が私に「ほら、亜矢も話に参加してよ」と小声で促してくるけど、いや、私、どこに参加すればいいのよ、微塵もそんな隙間ないじゃん。

美紀には「はいはい」と適当に答えながら、またビールをゴクリ。

私を救ってくれるのは最早ビールしかない。

おかげで良い具合に酔いが回ってきて、楽しくなってきた。

そんな頃、だった――。