隠れ御曹司の愛に絡めとられて


「カエデくん……」


こらえきれなくなって、私は上体を起こし、彼の唇へと自ら口づけた。

向かい合わせに座った状態でキスを続ける。

驚くカエデくんを見て気分がよくなった私は、口づけたまま、彼の頬に触れていた手をそのままゆっくりと、ゆっくりと、下へと滑らせた。

彼の筋張った首筋に触れ、更にその下へ……。

カエデくんが着ているニット越しに、鎖骨に触れる。


「……亜矢、さん」


口づけたままカエデくんがいつもより少し余裕なさげな声を出すのにますます気をよくした私は、彼が着ているニットの裾から手を侵入させて、彼の肌へと直に触れる。


「ちょ、……亜矢さんっ?」


少し焦った声を出すカエデくんを、私は体重をかけて押し倒した。

はい、形勢逆転。

いつもやられてばかりじゃあ、私の年上としての威厳が保てない。

……なんて、それはただの口実で。

本当は本当に、ただ私が彼に触れたい、それだけだった。


初めて会ったあの日に目にした彼は、細身ながらにもとても締まった身体を惜しげもなく晒していたのを思い出す。

きっと、あの日のあの時から、こうやって彼に触れたかった――そんな気がする……。


「カエデくん……」

「……亜矢、さん」


お互いの名前を呼び合うだけでしあわせな気分になれる。

けれど、触れ合えれば、もっともっとしあわせになれる……。