手を伸ばしてその絹糸のような髪に触れようとすると、彼の手にあっさりと絡め取られて頭上に拘束されてしまった。
「ね、え、カエデくん……っ」
抗議の言葉を唇で塞がれ、残りの言葉は口にすることはできなかった。
代わりに私の口から漏れ出るのは、恥ずかしいほどの甘い吐息だけ……。
貪るような獰猛な口づけに、思わず目が回りそうになる。
優しく触れるだけのキスで始まったはずなのに……。
ようやく気が済んだのか、指を絡め合うように拘束されていた私の手と、蹂躙されていた唇がやっと解放された。
息を整えながら頭上のカエデくんを見上げると、妖艶な男が濡れた唇に笑みをたたえながら私を見下ろしている。
触れたくなって、でもそう言えばさっき彼の髪に触れようとして両手を拘束されたんだった、と思い出す。
どうすれば彼に触れられるだろう?
触れたくて、仕方ない……。
懲りずにもう一度彼にゆっくりと手を伸ばす。
眼の前にふわりと落ちている彼の柔らかそうな髪に、今度こそ触れた。
梳くように指に通せば、彼の髪は私の指を簡単にすり抜けてふわりと揺れる。
髪に触れただけでは満たされず彼の頬に触れると、滑らかな彼の肌が少し上気しているのが分かり、たまらなくなった。
ああ、ダメだ……。
カエデくんが、欲しすぎる……。



