〝好き〟と、ちゃんと口に出して、言わなきゃ。
そうでなきゃ、伝わらない。
もし伝わっていたとしても、何度だって、言っても良いんだ――カエデくんが、そう教えてくれたから。
だから、私も、ちゃんと――。
「カエデくん……」
「うん」
「あのね、カエデくん」
「……うん」
「……あの、」
エレベーターがポーンと軽快な到着音を鳴らして、扉が開く。
部屋の前に到着したらしい。
けれど、私は彼の瞳から視線をそらすことなく、続ける。
「あのね……、私も、カエデくんのことが、好き」
「……ふふ、うん」
「すごく、好きだよ。大好き」
「亜矢さん……。ふふっ、嬉しい」
いつにも増して優しく甘く微笑むカエデくんに、また、私の心臓がギュッとなった。
カエデくんの笑顔を見るとなぜだか安心するし、嬉しくなるし、好きすぎて、どうしようもない。
最初は何とも思ってなかったのに、――人の心なんて、いつの間にか変わる。
「カエデくんの、そうやってふわふわ笑ってるところも、料理がとても上手なところも、私のことを大事にしてくれるところも、案外芯がしっかりしてるところも、急に強引になるところも……、全部、好き」



