仕事を終えて、会社の一階で美紀と落ち合う。

会うなり美紀が「時間なくて化粧直し出来てないんだよね。ちょっと付き合って」と言うので、連れ立って化粧室へ……。

私は簡単にしか化粧直ししてないけど二人飲みだから別にそれでいいか、なんて思ってた。

すると、彼女は私の顔を鏡越しにじっと見つめてため息をついた。


「ちょっと亜矢。なにそのうっすいメイク。亜矢はせっかく美人なんだから、もうちょっと気合い入れてメイクしなよ!?」


そう言って彼女は自らのメイク道具で勝手に私の化粧を直し始めてしまった。


「えっ、ちょっと、美紀っ!?」

「はい、動かない、しゃべらないっ!」

「ん~~~っ」

「髪も! コテ貸してあげるから、はい、巻く!」

「や~~~っ」

「ヤじゃないっ。もっと美人を前に出せ!」

「だって、二人だけだもーんっ!」

「でも誰に見られてるかなんて分からないでしょ!? はい、気合い入れて行くよ!」

「え~~~っ」


結局好きなようにヘアメイクを施され、やたらと気合いの入った見た目になってしまった。

めちゃくちゃ恥ずかしい……。