どうして私のこんなに最低な話を聞いて、そんな風に笑っていられるの?
最低すぎる私のこと、罵ってくれてもいいのに。
「うーん、僕の名前のことは最初から覚えてないんだろうな~とは思ってたから、大丈夫だよ?」
「でも……」
「だって亜矢さん、あの時かなり酔ってたし、合コンに興味なさそうだったもんね?」
「……う、ん」
「それに僕の職業のことも、ね。あれ、わざと勘違いさせるように言ったから、亜矢さんは悪くないよ」
「え、ええ?」
「僕の見た目がどうしてもそう言う風に見えるのは分かってたから、わざと〝飲食店勤務です〟って言ったの。ふふ、ごめんね……?」
カエデくんは小首を傾げながらふわふわ笑っている。
まさかあれがわざとだったなんて。
「そんなわけで、多分僕の方が謝らなきゃいけないことがいっぱいあるから、亜矢さんはもう気にしなくていいよ」
「で、でも……っ」
「亜矢さんの性格だとそう言うの、気になっちゃうんだね。ふふ、そう言う真面目なところも好きだな~」
「……も、もうっ」
「ふふ。本当だよ? すごく好き。全部好き」
「かっ、カエデくんっ、やめてっ、分かったから……っ」
臆面もなく面と向かって〝好き〟と連呼され、こちらの方が恥ずかしくなってきてしまった。
やめてやめてっ、もう、分かったから……!



