孝治に偉そうに反論したけど、私だってカエデくんのことを〝ホスト〟だとか〝チャラい〟とかって思っていた。
完全に見た目だけで判断をして、本当の彼を見ようともしなかった。
それをカエデくん本人に黙ったまま孝治だけを悪者にするのは、絶対に間違ってると思う。
「あのね……、実は、私も……最初はカエデくんのこと、ホストかも、って、思ってて……。ごめんなさい」
「あはは、そんなの、気にしなくていいのに」
「ううん。私は本当に最低なの。カエデくんに、こんな風に優しくしてもらえる資格なんかない……」
「……亜矢さん」
車はいつの間にか彼の住むビルの前まで来ていて、スロープを下って地下駐車場へと到着する。
まだ話さなければいけないことがいっぱいあって、私はそのまま話を続ける。
「本当に……、本当に、最低だよね。ごめんなさいっ」
「いいよ、大丈夫、そんなこと気にしてないよ?」
「そ、それに私……、カエデくんの名前だって、最初、覚えてなくて……っ」
「ふふ、そっか」
「ほんとに色々、ごめんなさい……」
私は助手席に座ったまま頭を下げた。
本当なら土下座でもしたい気分だ。
そんな私を見たカエデくんは、「なぁんだ、そんなことかぁ、ふふっ」と、いつも通りの感じで笑っている。



