隠れ御曹司の愛に絡めとられて


「ふふ、言ってたよ? あ、安心して? もてあそんだり使い捨てたりなんか、絶対にしないから」

「ええ……?」

「亜矢さんのこと、ちゃんと大事にする」

「う……」

「だから、一緒に住もう? ね?」

「……え、っと、私、カエデくんに言ってないことが……」

「うん?」


そう、私は、カエデくんに言っていないことがある。

私の汚点とも言えること。

私の、最低な部分。

ひとつはもうバレてるけど、もうひとつのことも含めて、これはちゃんと自分の口から伝えておかなきゃいけない。


「あのね……、私、料理が、全然ダメで……」

「……うん」

「だからね……」

「……ふふ。それ、気にしてたんだ?」

「……うん」

「そっか。うん、大丈夫だよ。そんなの、全部僕がやるから」

「……でも」

「言ったでしょ? 三食プラスおやつとデザート付きだ、って」

「う、ん、まぁ……」

「それだけじゃ、ダメ?」

「そ、そうじゃなくて……」

「うん?」


私の汚点は、料理が出来ないって言うだけじゃない。

それだけじゃ、なくて……。


「その……、さっきの孝治との話をどこまで聞いてたか分からないんだけど……」

「うん」

「私、カエデくんのこと……カエデくんの仕事のこと、ひどい誤解をしてて……。それで、私も孝治のこと言えないかも、って……」

「うん」