「亜矢は、あんなのが好みなのか!?」
「何のこと?」
「あんな、チャラいホストみたいな年下のガキが好みなのか、って聞いてんだよ!!」
「ちょっとっ! それは言い過ぎでしょ!? それに、それこそ孝治には関係ないっ」
「あのガキに、身体と金でも差し出したのか? それぐらいしか能がないもんな……?」
「な……っ!!」
……許せない。
私のことは百歩譲って何を言われても良いとして。
カエデくんの事を、そんな風にこの人に言われる筋合いはない。
そりゃ私だって最初はカエデくんのことを誤解していた。
チャラいって思ってたし、ホストかもって思ってたし、年下は恋愛対象外だった。
でも……。
一緒に過ごしてカエデくんのことを知るにつれて、それは全て私の勘違いだって、分かった。
カエデくんは決してチャラくなんかない。
ただ見た目が激しく良すぎるだけだ。
飲食店勤務だって言ってたけど、きっとホストなんかでもない。
どんなお店で働いてるのかは分からないけど、彼は接客よりも、きっと料理を作る方の人間だと思う。
それは彼が私に振る舞ってくれた丁寧な手料理が全てを物語っていた。
私自身は年下は恋愛対象外だと思ってたけど、それも私の勝手な思い込み。
過去の私はたまたま惹かれた相手が同学年か年上ばっかりだっただけで、年下には目を向けていなかっただけ。
だから……、
だから…………。



