――これは一体、どうすればいいのだろう……?


私の手の平の上で今も時を刻み続けている“それ”をじっと見つめた。


まさかの朝帰りに自分でもびっくりしながら家に辿り着いたのが、つい先ほどのこと。

持っていたカバンをソファに置いて、その横へと身体を投げるように沈む。

その反動でカバンが倒れ、中身の一部がソファの上へ転がり出た。

元に戻すのも面倒で、そのまま放置してぐったりと脱力――しようとして、見覚えのない“それ”がカバンの中にある事に気づく。

少し前に二日酔いから完全に解放されたばかりの頭は、まだあまり正常に働いていないらしい。

だからこれはもしかすると幻なんじゃないかと思いながらカバンへと手を伸ばしてみたけれど……ひんやりと冷たい“それ”は、幻などではなく、まぎれもない現実で……。


「……は? なんで?」


私は、手の平に乗せた、それ――“男物の腕時計”――を、茫然と見つめた。