隠れ御曹司の愛に絡めとられて


――そしてやっぱり今日の料理もとても美味しかった。

デザートあるよ、と言われて、思わず目が輝いてしまう。

冷え冷えのプレートに抹茶のケーキ、抹茶とバニラのアイスが乗せられている。

口に運べば抹茶の苦さと砂糖の甘さがベストマッチ。


「ね、これも作ったの?」

「うん。……口に合わない?」


恐る恐ると言う感じで尋ねられ、違う違う、と私は首を横に振った。


「めっっっちゃくちゃ美味しい……!」


私がそう答えると、彼は「ふふ、良かった~」と頬を緩ませた。

相変わらず可愛い。

いや、成人男性だし、単に可愛いって言うのとは違う。

なんだろう、どう説明すれば良いんだろう。

男らしいところもあるのは十分に分かっていて、だからこそ戸惑ってしまう。

こうやって笑ってたら可愛いらしいのに違いがないのだけど。


「私、食べたら帰るね」

「……ええ!? やだ」

「やだ、って……。私、明日も仕事だし」

「今朝みたいにここから行けばいいじゃん。その方が近いし、ラクでしょ?」

「ラクだけど……ダメ」

「えーっ」


ぷう、と頬を膨らませるのも子供みたいで可愛い。