クラスが発表された.


運が悪い私は毎回のようにらんと同じクラスになる。


そして、今回もお決まりで同じクラスになった。


「今回も同じクラスだねぇ。お姉ちゃん。」


ニコニコ笑いながら私にしゃべりかけてくる。


「そうだね」


「ひどい...お姉ちゃん、そんなこと言わなくても...」


こうやってらんは他の人の関心を買う。


そして、他の人は必ずその言葉を信じる。


「なんだ?」


「な、なんでもないよ。」


あからさまに怯えるような仕草をとるらん。


「言ってみてよ」


あぁ、また私は嫌われて生活していくのか。


「お姉ちゃんと同じクラスだねって言ったら『最悪』って言われたの」


「はぁ?まじかよ。最低だな。」


「だねー」


いっせいに私は睨まれた。


こんなとき私は反論しない。


それが最善だから。


誰も信じてくれないから。


お母さんの逆鱗に触れるから。


私にとってはこれはもう見慣れた光景だった。


ここがどこであれ、私はらんの奴隷なのだ。



入学式が終わって家に帰った。


(そもそも私はこの家を自分の家だとは思ってないのだけれど。)


「ねぇ、お母さん!」


らんが家に着くなり大声を出した。


「どうしたの?」


「入学式にめちゃくちゃイケメンな人がいたの。」


「だから、神様じゃなくてもその人を狙うわ!」


いきなりそんなことを言い出したらん。


意味不明


(神様ってなに⁉)


「あらあら、そうなの?」


お母さんはその神様というもののことを知っているみたい。


「っていうことだから邪魔しないでね。お姉ちゃん?」


学校では見せないような顔をして私に確認という名の牽制をしてくるらん。


「はい。」


私はそれに何も言わない。


(でも、確かにイケメンな人だったな...らんが好きになるのも不自然じゃない。)


そんなことを考えていても井龍先輩と付き合えたり、仲良くなれることはない。


先輩も流石にあの噂を信じているだろうし、雲の上の存在の人っぽいから。


私はこの時将来あんなことになるなんて考えもしなかった。