”ブラーン…!”

やっぱりこんな音感なのか…。
これが耳に入る最後の音だわ。

終わったのよね…。
私は死んだ。
連中…、憎っくき99人を道連れにして…。


***


それはどのくらいの時間だったのか…。
とても短いようで、逆にえらく長いようにも感じた。
死んでるんなら、生きてたあの地獄のような世界での時間軸なんて、所詮存在しないだろうし…。

ここはどこ…?
周りは木ばかりだけど、私が首を吊った雑木林じゃないよ…。

私、地面に落っこちてるし…。
まあ、あの世ってのは、こんなものかもしれないけど。


***


私はとりあえず立ちあがった。
すると‥。

私の後ろでは、クヌギらしき大木が私を見下ろしてる。
どこかあの柳っぽいかな…。
しばらく私は、それを見上げてた。
”しばらく”の間…。

気が付くと、私の前に声をかけてるらしき人がいる。
オトコのヒト…?
それって、木なんだけど…、クヌギっぽい大木の…。
カレ…、ひょっとして…?


***


カレは、木の中にいた。
ちょうど私の頭あたりに目があったわ。
その部分…、まだら模様になってて、木の幹がそこだけドンと太くなってるの。

”マダラ、フクレ、クニギ…”

カレはまず、この言葉をくれた。
さらによ!

”ソレ、ウメロ…”

それとは…、クヌギの木の根元にあった。
カプセル…、が二つ…。


***


私は言われる通りにした。

”オマエ、イキロ…”

私はこの瞬間、この人の言ってる意味がわかった。
同時に、心の底深くも透けて見えたわ。
そういことなの…‼

やっと巡り合えた…。
あなたはステキよ…❢

二つのカプセルを木の根元に埋めた私は、気が付くと、そのクヌギに抱き付いていた。
膨れた幹のまだら痕に、私のふくよかな胸を押しつけて…。

愛しい呪い主様…、やっと結ばれた。
嬉しい…。

故鬼島則人と久留田ナナミは互いの狂気を媒体として、これより、深く結ばれることとなる…。