トライアングル模様/その9
麻衣




”仕事”を済ませた後、喫茶店レオで三田村さんと落ち合った

「相変わらず見事な手並みだったらしいね。静美も興奮してたよ。さすが、麻衣さんは迫力が違うってな」

「はあ、恐縮です。ブランクある分、テンション高めで設定しておいたんで。でも、あんな手合いでよかったですよ。中途半端に私を怒らせる輩だったら、殺してたかもしれませんから…」

「まったく、アンタは面白いねえ…。ああ、これは今日のペイだよ。それと、あんたがその場で没収した分はバックだ。いいようにしな」

「ありがとうございます。ですが、その分お預かりいただいて、こちらのお願い受けてもらえませんかね」

「おお、何だい?」


...



「さっそく砂垣がまた私の前に現れまして…。性懲りもなく。しかも星流会の会長と一緒に…」

「そりゃ、まあ、ホントかい?」

「ええ、その場での砂野郎は顔つなぎでしょうが、相和会と切れたんなら今度はこっちで力貸すぞと…。懐柔してきました」

「ほう、いきなりたいそうだね。そんで、アンタどうした?」

「”ダボ”とは組めないと突っぱねました。途中で砂坊をおん出し、諸星のじいさんとサシでケンカ腰ってことです」

「はあ~?お前、なに考えてんだ?今度はどういう目論見だね?」

「奴ら、どっちも虫が好かないんで、やっちゃいたいんです。砂垣は今までの恨み骨髄で、私のこと目のカタキにしている。やくざがらみででも、私を消してやりたいって顔に書いてありましたよ。じじいの方は、相和会の切り崩しに未成年の娘をダシに使えないかと、まあ、セコイ限りの性根ですね。ムカつきますよ」


...



「ふう~、お前は会う度に滅茶苦茶の度合いがエスカレートして、ついて行けないわ。仮にも全国組織がバックついたやくざの親分だよ、諸星は。でさ、結局、何がしたいんだよ。はっきり言いなさい、麻衣!」

「はい…。砂垣には二度と女の縄張りにしゃしゃり出てこないような、痛い目に遭わせる手立てで、ご協力いただきたい。これは先日、真樹子さんを交えて話した想定とリンクしますが…。そして、星流会のじじいには、私を小娘扱いしたことを後悔させたい。そう言うことです」

「具体的に言いな!麻衣…」

「はい、それでは…」