「航くん、ハッピーバレンタイン!」

いつも私は航くんにチョコを渡す。

朝一番。

バレンタインの日は絶対に航くんの登校時間に合わせてチョコを渡す。

そう、絶対に。

好きな人には一番にチョコを渡したいという、ちょっとしたわがままな乙女心だ。

「ありがとう。今年もお礼しないとな」

くしゃくしゃっと私の頭を撫でる。

これが毎年恒例、私たちの2月14日。