鳥山は敏生の危惧した通り、初めから結乃が狙いだった。それは、最初から結乃の隣に座り、親しげに〝ちゃん〟付けで名前を呼んだり、手放しに褒めちぎることからも明々白々だった。
あとの男二人は鳥山と張り合っても勝ち目はないので、結乃を除く三人から的を絞ることになるのだが……


(ちょっと……、アレはあの有名なあの人じゃないか?)

(合コン荒らしの総務の(つぼね)だろ?ちょうど鳥山さんが声をかけたときに居合わせたらしくて、片桐さんより乗り気だったらしいよ)

(マジか……、河合が来たら局の相手をさせようぜ)


〝総務の局〟とよばれる川本紅葉は、〝女の子〟とは言い難いお年頃だったが、意識高い系を自負し、ハイスペックの交際相手を探して足繫く合コンに通うことで有名だった。

しかし、なかなか河合が来ないので、男二人は総務の局の自己アピール大会に付き合わされる羽目になる。懸命に他の女子に話題を振っても川本の方が一枚上手で、巧みに話に割り込んでくる。

鳥山は結乃にしか話しかけないので、川本の今日の標的から除外されているらしい。男二人は餌食になりたくないので、川本から逃れようと必死だった。