リビングのテーブルにはクッキーの型とかが散りばめられ、もう作り終えた雰囲気。

 お皿にうさぎや猫やハート、星など可愛いチョコクッキーも並んでいる。

 いいなぁ、いいなぁ~!
 僕も食べたいな、総長の手作りクッキー。

 総長が2回目のチョコクッキーを焼いているオーブンレンジを見にキッチンへ行った。

「これね、大好きなお兄ちゃんにあげるクッキーなの」

 妹ちゃまがお皿を指さしながらそう言った。

 そうだったのか。
 誰にあげるのかな系疑問は、解決した。
 
 あの時倉庫でレシピを見ていたのは、妹ちゃまと一緒に作るためにチョコクッキーレシピを研究していて。

 しかも妹ちゃま、その渡すお兄ちゃんと一緒に作るという。

 可愛いなぁ~。
 可愛いよぉ~。

 そんなこんなで2回目に焼いていたチョコクッキーも出来上がった。

「総長、僕もバレンタイン、何か欲しいっす」
「しかたねーな」
「なんすか? なんか、くれるんすか?」
「ちょっと待ってろ!」

 そう言い、総長は再びキッチンへ。
「待ってろ!」って言われたけれど、気になりすぎますっ!

 総長についていき僕もキッチンへ。
 妹ちゃまもついてきた。

「結構余ったからな……」

 総長は呟きながら、余ったと思われる板チョコをレンジでチンした。

 引き出しからチョコ用の小さなハートの型を取り出すと溶けたチョコを型に入れ冷蔵庫へ。

「固まるまで待てるか?」

 なぬっ? この展開、もしやもしやあのチョコをもらえ……。

 想像するだけで心がトゥンクする。

「待てます。一生待てます!! 待たせてくだせいっ!!」
「何? モブくん、待ってるの? わたし、その間、一緒に遊んであげてもいいけど?」
「いいんすか? お願いします!」
「じゃあね、おままごとね! お兄ちゃんはお兄ちゃん役で、わたしがママ。モブくんは、犬ね!」

 やった~!
 総長たちと待っている間、遊べるわんっ!!