完全に壊れてる!

「ど、どうしたの伊藤くん」

「あ、磯田さん……俺、勉強がとっても苦手なんだ……」

よ、よかった……とりあえず正気に戻ったみたいだけど……。

「そうなんだ……じゃあテストは辛いね」

「そうなんだよ……あー、誰か勉強教えてくれ!」

天井に向かって思いっきり伸びをしてそう叫んだ伊藤くんはしっかり先生に注意されていた。

「あ、あの、伊藤くん」

すっかり落ち込んでカバンに顔を埋めていた伊藤くんの肩を叩いて、顔を上げてもらう。

「あの、私でよかったら、勉強、教えるよ……?」

あ、あんまり役に立たないかもだけど……。

勉強は嫌いじゃないし、今回のテスト範囲も苦手なところは少ないから、教えられるはず……!

私がそう言うと、みるみる伊藤くんの顔が輝いていく。

「……マジで⁉︎助かるー」

そんなに嬉しかったのか、両手を上げて勢いよく立ち上がってそう叫んだ伊藤くん。

「伊藤くんうるさいよ!」

「はい、すみません!」

でも、その顔は晴れ晴れとしていて、勇気をだして提案してみてよかったと思った。

         * * *