「じゃあ、磯田さんの席は伊藤くんの隣で……ってあれ?伊藤くんは?」
「セーフッ!」
先生の言葉と同時に響くその声。
「いや、セーフじゃ無いから。伊藤くん遅刻」
「えぇっ……それはないよ先生」
そう言って伊藤くんと呼ばれた男の子がこっちを見る。
「……だれ?」
「転校生の磯田遥さん。伊藤くんの隣の席になるから助けてあげてね」
「わかりました。よろしく!磯田さん」
笑顔でそう言ってくれた伊藤くんに安心して、私は笑い返す。
「うん、よろしくっ」
伊藤くん、優しそうで良かった……。
* * *
一限が終わって、張り詰めていた空気が軽くなる。
教科書は圭介さんがあらかじめ用意しておいてくれて、なんの不便もなく授業が受けられた。
次の授業は……理科、かな……?
私が理科の教科書を用意していると、椅子ごと体をこっちに向けた伊藤くんが改めて自己紹介をしてくれる。
「磯田さん、俺、伊藤郁人。趣味は音楽聴くこと。改めてよろしく!」
「私、磯田遥。私も音楽聴くの好きなんだ。よろしくね」
「磯田さん、いきなりで悪いんだけどクラスのみんな磯田さんと話したいみたい。特に男子」
……?
男の子?
周りを見ると、こっちを見ている人はたくさんいたけど、特に男の子が多くてびっくりする。
「ごめんなさい……私、男の子が少し苦手で……」
小学生の時に一時期隣の席だった男の子に髪を引っ張られたり、勝手に鉛筆を取られたりしていたから、全員が全員苦手なわけじゃないけど、初めて話すのはやっぱり緊張してしまう。
それに、一度にたくさんだなんて……ちゃんと話せる自信が無い……。
「え、そうなの?俺、隣じゃない方がいい?」
申し訳なさそうに私から距離を取ろうとする伊藤くんに、慌てて首を振る。
「ううん!伊藤くんは、話しやすいし……苦手じゃないよ!」
「そう?ならよかった!」
そう言うと伊藤くんは、私から離れようとしていた体を元に戻して、何を思いついたのか、教室を見渡して口を開く。
「セーフッ!」
先生の言葉と同時に響くその声。
「いや、セーフじゃ無いから。伊藤くん遅刻」
「えぇっ……それはないよ先生」
そう言って伊藤くんと呼ばれた男の子がこっちを見る。
「……だれ?」
「転校生の磯田遥さん。伊藤くんの隣の席になるから助けてあげてね」
「わかりました。よろしく!磯田さん」
笑顔でそう言ってくれた伊藤くんに安心して、私は笑い返す。
「うん、よろしくっ」
伊藤くん、優しそうで良かった……。
* * *
一限が終わって、張り詰めていた空気が軽くなる。
教科書は圭介さんがあらかじめ用意しておいてくれて、なんの不便もなく授業が受けられた。
次の授業は……理科、かな……?
私が理科の教科書を用意していると、椅子ごと体をこっちに向けた伊藤くんが改めて自己紹介をしてくれる。
「磯田さん、俺、伊藤郁人。趣味は音楽聴くこと。改めてよろしく!」
「私、磯田遥。私も音楽聴くの好きなんだ。よろしくね」
「磯田さん、いきなりで悪いんだけどクラスのみんな磯田さんと話したいみたい。特に男子」
……?
男の子?
周りを見ると、こっちを見ている人はたくさんいたけど、特に男の子が多くてびっくりする。
「ごめんなさい……私、男の子が少し苦手で……」
小学生の時に一時期隣の席だった男の子に髪を引っ張られたり、勝手に鉛筆を取られたりしていたから、全員が全員苦手なわけじゃないけど、初めて話すのはやっぱり緊張してしまう。
それに、一度にたくさんだなんて……ちゃんと話せる自信が無い……。
「え、そうなの?俺、隣じゃない方がいい?」
申し訳なさそうに私から距離を取ろうとする伊藤くんに、慌てて首を振る。
「ううん!伊藤くんは、話しやすいし……苦手じゃないよ!」
「そう?ならよかった!」
そう言うと伊藤くんは、私から離れようとしていた体を元に戻して、何を思いついたのか、教室を見渡して口を開く。



