「また明日な」 俺も手を振り返し、陽葵が家の中に入るまで見送る。 そして姿が見えなくなった途端、ハンドルに向かって顔を伏せた。 はぁぁ。 実家の前で何やってんだろ俺……。 陽葵は帰っていないのに、まだ甘い香りがする気がして。 再びエンジンをかけ、家とは反対の方向に車を走らせた。 少し落ち着かせて帰ろう。