「うわっ」

上の方から声が聞こえて、気づいたら女の子が降ってきた。

思わず受け止めたその子は真っ青な顔をしながらも、すみませんとありがとうございますを口にして俺の元を去っていった。

あの受け止めた時の手の感覚が忘れられなくて、気づいたらその子を探していることが増えた。

2クラス合同でやる体育の授業の時、やっと彼女のことを見つけた。

何度も体育の授業を重ねていたのに、全然気づかなかった。

それでも結局、名前を聞くことも出来ずに春が来たのだ。