「優樹菜には雫のことを話した。会ってみたいというので来てもらったんだ。」

 「花崎さん。私が婚約者と言われていたのに何も言ってこなかったのは何故?大分経つわよね。」

 「それは、私が言うことではないと思ったからです。」

 「亮がきちんと貴女との話を誰にも言っていないのはそういう関係まで話がいってないからでしょ?」

 「優樹菜。さっきも説明しただろう。仕事を優先していたって。課が動き出したばかりなのに、プライベートのことに時間を割くなんて立場上できない。それくらい忙しいからお前だってウチに入社してもらったんだから。やっと落ち着いたから話してるんだ。」

 「ふーん。亮はとにかく私と一緒になるのは絶対に嫌ってことなのね?私があそこまでお父様にも言ったのに。貴方の言うとおりの女になると宣言したのよ。」

 「……そんなこと頼んでない。それに、そんなことするのはお前らしくないだろ。優樹菜の良さが消えるぞ。」

 驚いて亮ちゃんを見た。原田さんを大切にしているのは確かなんだと痛感した。
 「花崎さん。貴女は、彼と一緒になったとしてアメリカに移住する決意はあるの?英語はできる?」

 「……決意はできますが、英語はこれからです。」