そして今日に至る

手に持っているチョコが入っている包装をほどく。

甘いものが得意ではない先輩が食べやすいように作ったビターチョコ。

パクっと口に放り込む
最初苦さがきてあとから甘さがほんのりくる。

ぽろぽろ。

温かい涙がチョコに零れ落ちる。


「あーあチョコが台無しじゃん」

「…なに?」

屋上に来たのは幼馴染の笹木蒼汰。

「1個貰っていい?」

「お好きなよーに」

そう言って私は蒼汰にチョコを渡す。

蒼汰は私からチョコを貰うと口にチョコを放り込む。

「うま」

「なわけ無いでしょ」

甘党な蒼汰は苦いものが得意ではない。
先輩用に苦くしたから蒼汰にとってはきっと美味しくない。

「いや?甘くて苦くて、まあちょっとしょっぱいけど」

「…そっか。」

「ねえ」

「なに…ってきゃっ」

蒼汰の方を向くと突然ぐんと寄せられて聡太の胸の中にすっぽりと収まった

「ここなら泣いても誰にも見られないよ」

「…ばか。」
そんなこと言われたらもう我慢出来ないじゃん。

「うぅっ。うわぁぁぁぁぁぁ」

壊れたかのように泣く私を蒼汰は優しく大きな手で撫でてくれた。