嘘をついた。

お俺はチョコはあまり好きじゃない。

でも、今の京子にはこれくらいの嘘も必要なのだと、そう思ったから。

                          ***

「じゃあな、京子。今日はそろそろ帰るわ」

「うん。またね」

京子に手を振って、病院を出る。

家に帰るまでの道には、たくさんのバレンタインのチラシがあって、お店の中もバレンタインの色をしていた。