しばらく沈黙が続いた。
耐えきれず、顔を上げると、
部長が熱を帯びた目をしてい視線を返してくれる。
片方の左手は私の腰に回したまま、もう片方の手で私の首元のパールのネックレスに触れる。
私の身体は熱い。
部長の真剣な眼差しに囚われ、
「いいかな、早急すぎだとは思うんだけど、
ほかの男にとられたくないんだ。」とささやかれた。

私はゆっくりとうなずきながら、うつむいて、部長の胸元に顔をうずめ、
「部長、良いですよ。
私も、部長としたいです。」
言いながら、部長の胸に抱きつく。
恥ずかしすぎて、部長の顔を見れない。
すると部長の手が私のあごに置かれ、くいっと上向きにされる。
同時にキスが降ってくる。
「部長じゃないだろ。」
「あ、そうだ、
ん、ごめんなさい。」
ついばむようなキスをしながら注意される。
「賢二さんで言い換えてもらえる?」
「え。」
「だって、部長じゃちょっとなぁ。」
ニヤリといたずらっ子のように賢二さんが笑う。

少し間を空けて、意を決して口に出す。
「賢二さん、としたい、です。」
少し棒読みのセリフに賢二さんが笑う。
私も思わず笑ってしまった。

賢二さんの右手がゆっくりと髪をなぞり、耳元のパールのピアスに触れる。
顔を上げ、賢二さんの身体に腕を回して、想いをお返しする。
「賢二さん、私も、賢二さんとしたいです。」