お店を出てタクシーに乗り、賢二さんのマンションに着く。
タワマンとはいえ、中層の2LDKぐらいかしらと思っていたら、
ファミリー向けの広い高層階に案内された。

何もかもが豪華なマンションに戸惑いつつ、
玄関に入ってすぐに、腕を取られ抱きしめられる。
「ごめん、余裕なくて。」
賢二さんが耳元でささやき、甘いキスを落としてくる。
唇をついばむような軽いキスから、舌が軽く唇をなぞるようになってきた。
甘い喘ぎがもれると、すっと舌を差し込まれ、徐々に激しくなっていく。
さっきのワインが醸し出され、さらに酔ってしまいそうだ。
立っていられなくなって、身体を賢二さんにあずけてしまうと、
「ごめん、こんなところで。中に入って。」と身体を離され、奥のリビングに案内された。

一面の窓からは新宿の高層ビル群が間近に見える。
「わぁ、キレイ。」
思わず、窓辺にかけよる。

広いリビングの大きなソファーに促され、
「少し飲む?それともコーヒーか水にしとく?」
「お水をお願いします。」

賢二さんが水のペットボトルを出し、並べたグラスに注いで、一方を差し出された。
賢二さんももう一つのグラスを持って、テーブルを挟んで斜め向かいに座る。
お互いに水を一口含み、ほっと一息つく。
「ここに洋子さんがいるなんて、不思議な感じだな。」
「ふふふ、私もすごく不思議です。
部長とこうしてるなんて。」

賢二さんが水をぐっと飲み干すと、グラスをテーブルに置く。
すっと立ち上り、私の右隣に座る。
私を見つめると、
「二人きりの時に部長は禁止。」
「あ、ごめんなさい。」
私の手の中のグラスを引き取り、テーブルの上に置くと、
そのまま頬に手を置く。

「洋子、好きだよ。」
賢二さんの顔がゆっくりと近づいてきた。
賢二さんの柔らかい唇が、私の唇に落とされた。
唇の形を確かめるように、ゆっくりといろんな角度からキスを落とされる。
賢二さんの舌がゆっくりと私の唇をなぞる。
唇を少し開けると、ゆっくりと賢二さんの舌が入ってきた。
「ん、はぁ。」
吐息がもれ、部屋に響く。
部長が身体を少し離して、両腕がすっと伸びると、すっぽりと身体を包まれた。
力強く抱きしめられ、私もそれにこたえる。