もくもくと煙があがり、意識が朦朧としてきた。
ーーその時。
バンッ、と音がして小屋の扉が開いた。
新鮮な空気と共に誰かが入ってくる。
煙で視界は殆ど無いのに、その人は迷わず私の下へやって来た。
グイッと力強く抱き上げられ、直ぐに外へ連れ出された。
「ゲホッ、ゲホッ」
小屋から離れた場所にそっと下ろされる。
「アダム、縄を外せ」
「はい陛下」
縄が外れ体が自由になった。
私の赤く腫れている頬にそっと手が添えられる。
「僕のメアリーに……よくも」
私の顔に掛かった汚れた髪をそっと優しい手が掬う。
そこには心配そうに瞳を揺らす、リシウス陛下がいた。
彼はせつなげな表情を浮かべ、私の手を握る。
その様子を横で見ていたアダムと呼ばれていた人が凄く驚いた顔をしていた。
「陛下が……そんな表情をするなんて!」
それを聞いたリシウス陛下は、スッと表情を無くし冷たい目でアダムさんを見上げる。
「何でもありません。お二人ともご無事で何よりです」
そう言ったアダムさんは一歩後ろへ下がった。
助け出された事にホッとしたのか、急に喉の渇きが襲って来た。
「み、水……水を」
朝から何も口にしていない。
さっきクロエに掛けられた水がほんの少し唇を濡らしただけだった。
「あ、水? アダム! 水!」
「はい陛下」
直ぐにこの場に似合わない綺麗なグラスに入った水がリシウス陛下に渡される。
リシウス陛下は力無く座り込む私を抱き抱え、グラスを手渡そうとしてくれた。だが、私の手は小刻みに震え、上手く持つ事が出来ない。
「僕が飲ませるよ」
リシウス陛下はグラスを口に運んでくれた。
ゆっくりと私の口に水を注いでくれたのだが。
「ゴッ、ゴフッ」
なぜか咳き込んでしまう。
飲みたいのに上手く飲めない。
「メアリー、ゆっくり飲んでごらん」
リシウス陛下はもう一度グラスをゆっくり傾ける。けれど飲む事が出来ない水が口の端から溢れ、私は咽せるばかりだった。
それを見たリシウス陛下は、自ら水を含み私に口移しで飲ませてくれた。
不思議と咽せる事なく、水は喉を通っていく。
コクン、コクンと水が喉を潤した。
「あ、ありがとう」
飲ませてもらったお礼を言い見上げると、リシウス陛下は顔を赤らめていた。
「え?」
「こういう事は、もっとちゃんとしたかった」
「えっ?」
「いや、コレは別だ。うん」
その様子を見ていたアダムさんは「おおっ! 陛下が照れている!」と言ってしまい、リシウス陛下から凍りつく様な視線を向けられていた。
ーーその時。
バンッ、と音がして小屋の扉が開いた。
新鮮な空気と共に誰かが入ってくる。
煙で視界は殆ど無いのに、その人は迷わず私の下へやって来た。
グイッと力強く抱き上げられ、直ぐに外へ連れ出された。
「ゲホッ、ゲホッ」
小屋から離れた場所にそっと下ろされる。
「アダム、縄を外せ」
「はい陛下」
縄が外れ体が自由になった。
私の赤く腫れている頬にそっと手が添えられる。
「僕のメアリーに……よくも」
私の顔に掛かった汚れた髪をそっと優しい手が掬う。
そこには心配そうに瞳を揺らす、リシウス陛下がいた。
彼はせつなげな表情を浮かべ、私の手を握る。
その様子を横で見ていたアダムと呼ばれていた人が凄く驚いた顔をしていた。
「陛下が……そんな表情をするなんて!」
それを聞いたリシウス陛下は、スッと表情を無くし冷たい目でアダムさんを見上げる。
「何でもありません。お二人ともご無事で何よりです」
そう言ったアダムさんは一歩後ろへ下がった。
助け出された事にホッとしたのか、急に喉の渇きが襲って来た。
「み、水……水を」
朝から何も口にしていない。
さっきクロエに掛けられた水がほんの少し唇を濡らしただけだった。
「あ、水? アダム! 水!」
「はい陛下」
直ぐにこの場に似合わない綺麗なグラスに入った水がリシウス陛下に渡される。
リシウス陛下は力無く座り込む私を抱き抱え、グラスを手渡そうとしてくれた。だが、私の手は小刻みに震え、上手く持つ事が出来ない。
「僕が飲ませるよ」
リシウス陛下はグラスを口に運んでくれた。
ゆっくりと私の口に水を注いでくれたのだが。
「ゴッ、ゴフッ」
なぜか咳き込んでしまう。
飲みたいのに上手く飲めない。
「メアリー、ゆっくり飲んでごらん」
リシウス陛下はもう一度グラスをゆっくり傾ける。けれど飲む事が出来ない水が口の端から溢れ、私は咽せるばかりだった。
それを見たリシウス陛下は、自ら水を含み私に口移しで飲ませてくれた。
不思議と咽せる事なく、水は喉を通っていく。
コクン、コクンと水が喉を潤した。
「あ、ありがとう」
飲ませてもらったお礼を言い見上げると、リシウス陛下は顔を赤らめていた。
「え?」
「こういう事は、もっとちゃんとしたかった」
「えっ?」
「いや、コレは別だ。うん」
その様子を見ていたアダムさんは「おおっ! 陛下が照れている!」と言ってしまい、リシウス陛下から凍りつく様な視線を向けられていた。
