クローバー

「あ!あれ滝だよね?」

天音が指差す方向を見ると木々や野草に隠れて見えにくいけど、テレビでしか見たことの無い滝が遠くに見えた。

「凄い。初めて見た。」

俺がそう呟くと天音が、

「そのセリフは間近で見てから言ってよ。」

と笑う。

俺達は流行る気持ちを抑えながら足早に進んだ。

進むに連れて水が流れ落ちる音が大きくなり、滝の姿もはっきりしてきた。

そして、

「うわぁー!凄ーい!」
「凄いとしか言いようが無いな。」

3階、いや4階建ての建物に匹敵する高さから勢い良く水が流れ落ち、豪快に水飛沫を撒き散らす光景に圧倒された。

川の間に橋がかかっていて滝を正面から見られるようになっている。

橋と言っても手すりはついて無いし幅も狭い。文字通り一歩間違うと水の中に落ちる。

「あの橋っぽいところからならもっと良く見れそうだよ。」

天音は何の迷いも無くその橋に向かう。

「おい。そんなに走って落ちるなよ!」

「大丈夫だよ。アタシこれでもバランス感覚良いんだから!」

天音は橋の途中でコケたが落ちる事無く真ん中までたどり着いた。俺もすぐに追い付いた。