クローバー

その後ろ姿が可哀想に見えた。

「ったく…。ちょっと待てって。悪かったよ。」

俺は天音に駆け寄り、天音のリュックを持ち上げた。

「わ、わっ!何!?」

「これ重たいだろ?俺のと交換しよう。」

俺のリュックを天音に背負わせて、天音の重たいリュックを背負った。

今度は俺が前を歩く。

「フタバ…。って優しいね。天使みたい。」

「大袈裟だよ。」

「ちょっとストップ!」

俺は「今度はどうした?」と振り返る。

「良いものあげるっ!」

その瞬間。

頬にキスされた。

「元気出るでしょ?」

天音はそう言って走り出した。

俺の身体は一瞬にして熱くなる。

頭の中が真っ白になりかけたが何とか意識を保った。

「お、おい!走るなよっ。天音のリュック本当に重いんだから!」

俺は慌て天音を追いかける。

「男の子だからそれくらい平気でしょ〜!」

振り返って笑う天音こそ、神々しさや有り難みは無いけれど、天使みたいだな。って、一瞬思ってしまった。