俺は深呼吸して落ち着いてから天音の目をまっすぐ見て真剣に話した、
「喉に詰まらせたら危ないから次からは1つづつ舐めてくれ。」
天音は何故か背筋がぴんっとなる。
「は、はい。」
「それとっ!俺がいるときは飴は噛まないでくれ。」
「わ、分かった。」
俺は言い終わると天音から貰った飴の1つを封を開けて口に入れた。りんご味。
「フタバ…?」
さっきまでと雰囲気ががらりと変わって緊迫感すら感じさせる天音。
「何?どうしたの?」
天音は声を落として話す。
「もう一個の飴を袋から出して、指先でつまんでみて。」
訳が分からなかったが天音が真面目に話してるので、とりあえず言われた通りにした。
「そのままその飴をアタシに食べさせようとしながら身を乗り出して前の席の男をこっそり見て…!」
どうやら天音は何か異変を察知したらしく、前に座っているスーツを着た男をこっそり見ろと言いたいようだ。
俺は黙って頷くと天音の口に飴を持っていきつつ前の男の様子を探…、
「痛っ!」
飴を摘まんでいた左手の人差し指と親指が突然痛んだ。
「あれ?そんなに痛かった?ごめん。」と天音が笑いを堪えながら「あーん。してって頼もうと思ったんだけど、断られると思ったから。イタズラしちゃった。」
と茶目っ気たっぷりに言った。

