クローバー


天音の微妙な答えに不安を抱きつつも少し早めにやって来たバスに乗り込んだ。

上機嫌の天音はパンパンに膨れたリュックの中を探りながら、

「これから20分バスだね。ちょっとお腹空いちゃったよ。おやつにしない?」
と、『いちご練乳』とかかれたお菓子の袋を取り出し封を開けた。小袋分けにされた飴を2つ取り出して、

「はい。初心者は2つね。」

そう言って俺に飴をくれた。

「ありがとう。…初心者って?」

天音は小袋を3つ取り出して1つづつ封を開けて3個同時に飴を口に入れた。

「これひゃ、まひぇできないでぇひょ?」

「いや、何言ってるか分かんないから…。」

すると天音は、「ガリッ!ボリッ!ガリッ!ガリッ!!」と強烈な音を発しながら飴を噛み砕き始めた。

その音が苦手な俺は慌てて耳をふさいで天音に言った、

「うわーっ!だからって噛まなくて良いから!」

「もう噛んじゃったよ。」
「さっきのもう2度とやらないでくれ。苦手なんだ。あの音。」

「そうだったんだ。ごめんね。普段はたまに事故で呑んじゃう事はあるけど、噛むことは無いから安心して。」

俺は貰った飴の1つを天音に渡して言った、

「危ないから1つづつ舐めろって…。」