クローバー

姉さんは少し不思議そうな顔をしたけど、

「分かりました。」

と、手に持っていた物を女の人に渡して、お願いします。とおじぎした。僕もつられておじぎする。

女の人は、いいえ。こちらこそ。と軽く頭を下げると立ち上がって受付に置いてある電話のところに行った。誰かと話をしていたけど僕と姉さんがまだその場に立っているのに気が付くと、

「あそこで待っててね。」

と再びソファの方を指差した。

姉さんと僕は頷くとソファまで行き、座って待った。

僕は家にあるソファの方が柔らかくて良いと思ったし、足が疲れていたから寝転がりたいとも思ったけど、我慢して大人しく座っていた。

グランドモンスターの事を考えながら回りをぼんやり見ていると隣で姉さんが急に立ち上がり、僕は驚いた。

「やっぱり行こう。」

姉さんは僕にそう言って手を握った。

「どうして?」

僕が聞くと、

「母さんが家で心配してるから。」

「でもあの人は待ってて。って言ってたよ。」

姉さんは少し困った感じになったけど、

「確かに勝手に帰るのは悪い事だけど、あの人は知らない人だし…それに…何か嫌な感じがするの。」