「うーーんっ!やっぱり空気が美味しいね!」

あんな事、一瞬でも考えた俺がバカだった。

「フタバもちゃんと味わっときなよ。」

後悔しまくりの俺をよそに天音は大自然を満喫中のご様子だ。

「あんな事があった後に満喫なんかできるか!」

「全く、男のクセにだらしないんだから。」

「言ってる意味がわかんねぇ…。」

「今更後悔しても遅いんだよ?アタシは後悔するくらいだったら今置かれてる状況をどうやったら楽しめるか考えるけどな。」

事の発端は6日前。

天音と初のおでかけ…デートとも言うか。をした翌日の事だ。



昨日は色んな事がありすぎた。

帰ってから祖父に「楽しんで来たかい?」と聞かれ、「楽しかったよ。」と答えた。

嘘…じゃ無い。

あんな気持ちになったのは生まれて初めてだと思う。

天音は壁を突破した。と、そう言った。

そのせいなのか、今はなんか足りない感じがする。

不足。

そうだ。何かが足りてない。

必要な何かが…。

『アンタの悩み。アタシが解決してあげる。』

もう少しだけ真面目に天音の話を聞いてやろうかと思う。

「明日、天音と話そう。」