あなたに出会わなければよかった

外に出て速足で学校に向かう。学校に向かっていると、
「よお!希。今日おそくねーか」
「うるさいわねぇ」



私に話しかけてきたのは小中高と同じ拓。幼馴染でもある。
唯一手話で会話できて、困った時は何気に助けてくれる。一番の理解者。




拓のプライベートには全く興味がないからあんま知らないんだよね。
あ!そうだ聞くことがあったんだ

「ねぇあんたさ、小さいころ私となんか約束した記憶ある?」

「しらねえけど、なんかあったのか」

「なんか、夢の中で誰かと砂場で指切りしているんだけれど、肝心の顔が見えないの」

「ふーん」

「私の周りにいる男子ってあんたしかいないからそうかなって思って。なんか心当たりある?」

「あるわけねーじゃん、それにもうそんな小さい時のことなんか良くね。それに本当の話かわかんねーし。」

「え、」

「まあ思い出すこともないんじゃね、思い出せないってことはたいしたことないってよくいうから。」

「そうだね、もういいや」

希はあきらめて拓にそう手話で会話した後、学校まで走って行った。