運転手の男の人が救急車のところまで行って、ここに連れてきた。

「この人を運ぶので、離れてください!」

救急車から降りてきた人が、そう言って周りの人たちはその場から離れていった。

「君もついてきてくれるかい?」

その場で動けなくなっていた私に、救急車から降りてきた人がそう言った。

「でも、私、その人の知り合いじゃないですよ……?」

「君も事故に遭いそうになったんだ。念のために検査を受けたほうがいい」

そう促されて救急車に乗る。

それから病院に着くまでに、10分もかかっていなかったと思う。

それでも私には、無限に長く思えた。