俺の中で彼女をこんな目に追いやった人を思い浮かべ一人の人物が思い浮かんだ。


彼の名前は渡さん。Club Violetで№1のホストでViolet皆が憧れる人だ。


でも一部の人は渡さんの女癖の悪さを知っている。俺もその一人だ。


№1を取れる渡さんはすごいし憧れるけれど、№1を取ってあの女性のような人をこの手で生み出してしまうのなら俺は№1になれなくてもいい。


けれど、あの女の人がいた血の残る道を見ても何も思わないということは俺もそうなってきているのかもしれない。
 


「おはようございます。」


今日も今日とていつもと変わらず挨拶をして控室に向かう。


渡さんは同伴のお客様がいたらしくまだ出勤していないようだった。


先ほど見たもののことは忘れることにしよう。それでないと俺が傷つくことになる。


自分の名前にもある緑色のネクタイを締めて今日も俺はいつも通り店に出るのだった。


「翠さん、6番テーブルのヘルプお願いします。」


俺は渡さんに比べて指名の入る回数が遥かに少ないのでヘルプに入ることが多い。