心霊現象 研究同好会



「いよいよ心霊施設、か。 気を引き締めて行かないとだな」



他のみんなには聞こえないような小さな声で、倉本くんが言う。

倉本くんは、既に私の体質のことを知っている。

それと、郁也先輩の体質のこともだ。


これから一緒の同好会で活動していく仲間だし、オリエンテーション合宿でも同じ班。

「知っておけばお互いにフォローしやすくなるはずだから」と火曜日の放課後に郁也先輩が言い、そのまま先輩主体で体質のことを伝え……そして今に至る。


ちなみに、私が祖父母の家で暮らしてる理由や、郁也先輩がほぼ一人暮らしをしている理由も話し済みだ。

卒業式の前日にあった最悪の出来事も……多少言葉は濁したけど、伝えることにした。

それに対する倉本くんは「周りの人間クソ過ぎない?」と静かに怒ってたっけ。

それから「俺は諏訪の味方だからね」って言ってくれた。


……倉本くんは中学の時の嫌な奴らと同じタイプだと思ってたけど、全然そんなことはない。

とても優しくて、頼りになるし、一緒に居てホッと出来る人。

だからこの合宿も、不安はあるけど気持ち自体は落ち着いている。

「倉本くんが一緒ならきっと大丈夫」と、そう思っているから。



「もしもヤバいのが居たら、倉本くんのアホパワーで助けてね?」

「アホパワーって。 俺そういうキャラに思われてんの?」

「だって先輩たちとサイトの話をしてる時の倉本くんはアホ丸出しだし、それを見たら幽霊たちもきっと逃げ出すよ」


「憧れの人たちを前にしてるんだから、顔がほころぶのは当然でしょ。 言っとくけど、合宿中の俺は超絶 真面目状態だから助けられるかはわかんねーよ? 基本は班での行動だけど、トイレとか、風呂の時とか助けるなんて絶対無理だし。 あと夜な。 寝る部屋は男女別だから、もしもヤバいのが居たらマジでヤバいってこと忘れんなよ?」

「あー……そっか、そうだよね。 今日は朝からずっと一緒に行動してたから、超安心してた。 でも、夜になったら別々の部屋なんだったね」