「えぇ……その話はもう終わったじゃんかよー……」
「中途半端に聞いたままだと、なんか気持ち悪いんで」
……予期せぬタイミングで違う写真を見て驚いた、ってだけでいいじゃん。
それで十分だろ。
と思ったけど、神代って案外頑固なんだよなぁ……。
俺が真実を言うまで帰してくれなさそうだ。
仕方ない。
本当のことを言うか。
「んーっとね。 実は、諏訪ちゃんの寝顔写真をうっかり表示しちゃってさ」
「……」
「ちょ、無言で怒るのやめろっ。 ちゃんと説明するからっ」
メッチャ睨んでくるの、マジで怖ぇ……。
「えっとっ…週末に出かけた時に、別行動を取ったじゃん? その時に諏訪ちゃんがベンチでうっかり居眠りしちゃったわけですよ」
「……それで?」
「それで…まぁ……こっそりと撮りました」
「……」
「いやっ、だってさっ。 居眠りするってことは気ぃ許してくれてる証拠じゃんっ? しかも俺と二人の時にだよっ? それがなんか嬉しくてっ……」
……気持ちよさそうに寝てる諏訪ちゃんが、あまりに可愛くて。
愛おしくて。
その瞬間を残しておきたい。 って、思ってしまって……。
「……いや、うん……どんな理由があったとしても、本人に無断で写真を撮るなんてダメに決まってるよな……」
「そうですね、芽衣子さんに知られたらドン引きされるし、最悪の場合 訴えられる可能性もありますから」
「……うん。 写真は学校に居る時にすぐ消したし、バックアップも取ってない。 ので、みんなには内緒にしといてもらえるとありがたいです……」
「……わかりました。 同好会がグチャグチャになるのは俺も困るので、今回は目を瞑ります」



