「なんでだよ、俺と倉本の似てる部分なんて顔くらいだろ? 他に何かあるか?」
「……え、本気で言ってます? それ他の人の前では言わない方がいいですよ?」
「ってドン引きかよっ。 ったく、可愛い可愛い冗談なのにさー」
「冗談は顔だけにしてください」
「ぐっ……妙に上手いこと言いやがって……」
なんてやり取りをする二人を見ながら、ふふっと笑う。
やっぱり先輩たちと一緒だと楽しいな。
ここに梨乃先輩が居たらもっと楽しいし、それに……倉本くんが居たらもっともっと楽しくなりそうだ。
倉本くんはウチの同好会にきっとすぐ馴染む。
そして、ムードメーカーである三年生の二人が卒業したあとは……倉本くんがそういう側になると思う。
賑やかで、楽しくて、面白くて……そんな彼に、私と郁也先輩がツッコミを入れて、一緒に笑い合う。
そんな感じの未来が見える。
……でも、そこに三年生の二人が居ないっていうのは、寂しいな……。
もっとずっと“今”が続いていって欲しい。
やっと見つけた、心を許せる人たちとの時間を……終わりにしたくない。
「諏訪ちゃん? 急に立ち止まってどうしたー?」
「芽衣子さん、大丈夫?」
少し先で待つ桜井先輩が、どこか心配そうに声をかけてくる。
その横に居る郁也先輩も、不安そうな顔だ。
……二人とも優しいなぁ。
今まで家族以外に こんなに優しく扱ってもらったことがないから、なんだか恥ずかしくって、くすぐったい気持ちだ。
「……ごめんなさい、大丈夫ですっ」
照れを隠すために笑顔を見せ、二人の背中を押して歩き出す。



