「とか言いながら、実は倉本に対抗意識バリバリだったりして?」
「対抗意識…ですか?」
「ほら、樫村のことだよ。 男女の幼なじみなんて恋愛フラグ立ちまくりだし、何がきっかけで恋仲になるか わかんないじゃん?」
「あ、そういう話ですか。 まぁそれは時の運ですから、なるようになる。 としか言えませんね」
「……からかいがいのない奴だなぁー」
「そもそも、そういった系の話で からかわないでください」
あまり表情を変えない郁也先輩と、不服そうな顔をする桜井先輩。
そんな二人にオロオロしながらも、何も口出しは出来ず……そのまま昇降口に到着した。
それぞれの学年のところで一旦別れたあと、靴を履き替え、外に出る。
そのすぐあとに郁也先輩がやって来て、桜井先輩も少し遅れて出てきた。
私たち以外は誰も歩いてない通学路を、三人で並んで歩いていく。
話題は少し戻り、オリエンテーション合宿についてのこととなった。
「そういや俺らが泊まった時は「幽霊を見た」とか「金縛りに遭った」とか ちょっとした騒ぎになったけど、神代の時もあったんだよな?」
「はい、「後ろに誰も居ないのに服を引っ張られた」とか「深夜に廊下を走り回る足音を聞いた」とか ありましたね」
「で、実際色々居るんだろ? いいよなぁ、俺もまた泊まりに行きたい。 二週間くらい滞在してひたすら検証したい」
……って、サラッと話してるけど、合宿で利用する宿泊施設には色々な幽霊が居るのか……。
しかも心霊現象が複数起きてるって、結構ヤバい施設なのでは……。
「あのー……私、今週そこに泊まりに行くんですよ? なんで怖がらせるようなこと言うんですかー……」
「ごめんごめん。 でも、合宿中は諏訪ちゃんが自分で なんとかしなきゃいけないしさ。 事前に知っといた方が絶対に良いって思ったんだよ」
「まぁ、それはそうですけど……」



