大体いつも桜井先輩か郁也先輩と一緒に帰ってるけど、一人で帰ることになったら相当ヤバいだろうなぁ……。
幽霊が居る居ないに関わらず、薄暗い時間帯の学校は なんだか怖い。
余計なモノを見てしまう前に早く外に出よう。
と、私は足早に進むんだけど……、
「んー良いねぇ、やっぱりこの時間は興奮するなぁー。 幽霊さん出ておいでー。 あっそびーましょー」
……桜井先輩は、メチャクチャ楽しそう。
キョロキョロしながら、かなりゆっくり進んでいる。
まったくもう…相変わらずなんだから……。
フゥと息を吐いた私と同じように、郁也先輩も息を吐いて呆れ顔をしている。
でもとくにツッコミを入れることはなく、私へと視線を向けた。
「そういえば一年生って、オリエンテーション合宿があるよね? そろそろだっけ?」
「あ、ちょうど今週の木曜金曜…一泊二日で行ってきますっ」
「そっか。 俺の時は出発式のあと そのままウォークラリー開始で宿泊施設まで歩いて行ったけど、今年も同じ?」
「ですねー。 班ごとにチェックポイントを回りながら、この町のことを知っていく…っていうのが目的だって聞いてます」
着替えなどの重たい荷物は先生が車で運んで、生徒たちはリュックに筆記用具や飲み物、それから必要最低限のお金を入れた財布などを入れて持ち歩く。
八時に出発式を始め、そのあと班ごとに順次ウォークラリーを開始する。
チェックポイントは全部で七箇所。
その全てを回り、十一時までに自分たちで宿泊施設に向かわなくてはいけない。
ウォークラリーなので、公共交通機関の利用は不可で、買い食いも不可。
ただし、水分補給のために飲み物を買うのは許されている。
それと、スーパーや本屋など、大きいお店はトイレを借りることが出来るらしい。
昔からの行事だから、そのへんは上手いこと話が通ってるみたい。
もちろん、しっかりと断りを入れ、マナーを守って…だ。



